4.「妻を引き抜く」:構成的規則の無根拠性

「妻を引き抜く」ことと「時間を使う」ことには違いがある。後者が不正確であるにしても別のより字義的な表現で説明しなおすことが可能であるのに対して、後者ではそれは困難であるということだ。この困難を生み出している機制こそが、<水甕を動かす→妻を引…

 3. 妻を引き抜く→妻が死ぬ:構造的な隠喩における論理的帰結

「妻を引き抜く」と「妻が死ぬ」のは、隠喩的な論理における必然的な帰結である。「妻を引き抜く」と記述される出来事は屋敷と妻をめぐる以下のような体系的な語り口のなかに位置づけられている限りにおいてのみ意味をなす。 1妻は屋敷に据え付けられた存在…

 2.それはデッドエンドではなくスタートポイントの一つでしかない

http://members.jcom.home.ne.jp/mi-hamamoto/research/published/pottaboo3.html *浜本満『秩序の方法』第4章にほぼ対応 本論文で浜本は、人類学的研究が現地人の奇妙な風習を理解する上で使用してきた語彙の一つ「呪術」を標的にして、「呪術的」とされる…

 1.民族はロボットでもマシーンでもない

浜本満「妻を引き抜く方法-儀礼をめぐる問題系の配置の論旨要約に入る前に、この簡潔な論文と骨子を同じくする以下の著作から浜本の議論の前提をみていきたい。 秩序の方法―ケニア海岸地方の日常生活における儀礼的実践と語り 浜本は自分の研究は一般的には…

 0.サルはサルまわしになれるのか

カント『純粋理性批判』の後に民族誌を読むと絶望的な気分になる。前者の論理的厳密さに比べて後者の分析基盤があまりにも脆弱だから。ではなぜ前者(近代哲学とその末裔としての科学的明証性)に依拠しないのか。その厳密さのためにあまりにも多くの重要なも…

コネクショニズム

「シリーズ心の哲学ロボット篇」信原幸弘による序論より続き。 ここまでの流れ:古典(的計算)主義とコネクショニズムの類似と相違 類似 心の状態には心的表象が含まれるという立場(表象主義)を取る。 認知過程を表象の変形過程とみなす→身体性認知科学等(…

問いの前には謎がある

人間がロボットを作るということは 人間が機械で人間でつくれるようになろうとしているってことだから、 それは人間を作れる人間になるうとしているということなのだろうか。 いや、現に作ってる=産んでるじゃないか、と言われれば この表現が間違っている…

二つの計算主義

このカテゴリーでは、専門外の領域を扱うため、いきおい勉強ノート的なかたちをとることになる。まずは知性の機械的実現を試みてきた諸潮流を整理することを第一に、ときおり専門とする文化人類学あるいは人文社会科学の議論に接続可能と思われる事項も書い…

初期設定

「道を往く」と言い表すのは好きになれない。何れ何処かに行き着くと、そこに何かがあると仮構する、ストイックなようで甘えた態度に見える。「海に漕ぎ出す」は、まだましか。しかし、おそらく陸地などそもそも存在しない。現時点で必要なことは、風と波を…