日々雑考

世界に対して文句があるんなら子供なんて作るな

再び村上春樹。前とは違う側面から若干の考察。 [羊をめぐる冒険(上)P253] (友人と二人で経営していた小さな翻訳会社をやめ、 冒険を開始しようとする「僕」と、 彼を会社に留めたいアル中気味の友人との電話での会話) ・・・ 「僕は君とは違うんだ」…

最も私的なものは最も普遍的なものでもあるということについて

ここ1週間ばかり、 漠然とした必要に駆られて村上春樹を再読している。 毎日寝る前に2時間ほど、デビュー作から順番に。 村上の小説、特にその初期において顕著な特徴に、 登場する人物の多くが固有名をもたないことがある。 例えば「高校時代レコードを借り…

微々たる思いつき

きょう、電車に乗って→梅田→心斎橋まで出た。 考えてみれば随分とひさしぶりだ。 駅で横断歩道で、色んな人が通り過ぎた*1。 皆どこかしら張り詰めているように見える。 緊張か、期待か、それとも、期待が裏切られることへの不安か。 そんなことを考えている…

そろそろ再開+文献紹介

現在ブログ再開計画の思案中ですが、伏線はりも兼ねて若干の書き込み。 以下は今期の院ゼミで読んでいる文献。半期をこのラインナップで進める人類学ゼミって日本で他にあるんだろうか*1。 The Gender of the Gift (Studies in Melanesian Anthropology)作者…

70年代からオチがない。

論文を書く能力がついていくということは、漫才コンビが育っていく過程に似ているような気がします。優れたボケは「みんながほんとはわかっているけれどもうまく意識化できないことをなんとなくいってしまうひと」だと感じますが、それをみんなにわかっても…

この世に摩擦というものが無ければ・・・

右眼が忙しく、なかなか更新できないこのブログですが、 ちょっとしたお仕事をしていて偶然見つけた少し気になる話。 ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊が、 あるとき中高生向けの記述試験にこんな問題を出した。 「この世に摩擦というものが無ければどう…

「あるある」は「ないない」なしには成立しない(by西川君)。

お隣さんで展開されてるよもやま話に、ネタ元として使われた側として絡んでみます。とはいえ、哲学用語、ドゥルーズ用語はよくわからないので、関連しそうな文章を抜粋してみようかと。抜粋の意図としては、精神病治療において「治る」ということが二人称的…

「俺は人間じゃない」って、必死な主張?

ある研究会で、話の流れから「いや僕はあんま人間に興味ないですから」と言ったことを思い出した。その時の意図としては、個人というかビオスべったり前提にして話すのは面白いと思わない、っていうくらいの気持ちだったのだが、しかし考えてみればこの発言…

みんなのトラウマ探検隊?

学年的には後輩の友達にメール書きながら、なんとなく思ったこと。 文系の研究でできることってのは、みんなのトラウマ(もはやうまくいかなくなっている社会的な暗黙の前提)を対象化して、新たに現状的確な前提を再設定する/埋め込んでしまう、あるいはそう…

例え話と事例研究の違い

このところ理論的な作業をしばらく続けてきて、考えるに、そろそろフィールドワークに専心しても大丈夫なのかもしれない。 下の論文草稿―特に4章で事例から言葉を引き出していく過程―を思い返すと、事例が勝手に理論を作っていってくれる運動というのが自分…

ペギオが教えてくれること♪

生きていることの科学 生命・意識のマテリアル (講談社現代新書)作者: 郡司ペギオ-幸夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/21メディア: 新書購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (58件) を見る この人の本を読むといつも思う。 そうそう、こ…

初期設定

「道を往く」と言い表すのは好きになれない。何れ何処かに行き着くと、そこに何かがあると仮構する、ストイックなようで甘えた態度に見える。「海に漕ぎ出す」は、まだましか。しかし、おそらく陸地などそもそも存在しない。現時点で必要なことは、風と波を…