エッセイ

このカテゴリーでは以前オンラインマガジン「ロボニカ・エクスプレス」で連載させていただいたエッセイhttp://www.robonica.net/archives/sb.cgi?cid=12の続編の準備のために、アシモフやSFについて考察していく予定。

この世に摩擦というものが無ければ・・・

右眼が忙しく、なかなか更新できないこのブログですが、 ちょっとしたお仕事をしていて偶然見つけた少し気になる話。 ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊が、 あるとき中高生向けの記述試験にこんな問題を出した。 「この世に摩擦というものが無ければどう…

「あるある」は「ないない」なしには成立しない(by西川君)。

お隣さんで展開されてるよもやま話に、ネタ元として使われた側として絡んでみます。とはいえ、哲学用語、ドゥルーズ用語はよくわからないので、関連しそうな文章を抜粋してみようかと。抜粋の意図としては、精神病治療において「治る」ということが二人称的…

「俺は人間じゃない」って、必死な主張?

ある研究会で、話の流れから「いや僕はあんま人間に興味ないですから」と言ったことを思い出した。その時の意図としては、個人というかビオスべったり前提にして話すのは面白いと思わない、っていうくらいの気持ちだったのだが、しかし考えてみればこの発言…

発表予定

28日に東のほうで研究発表やります。 ぐだぐだになりそうでちょっと怖い。 http://anthrop.c.u-tokyo.ac.jp/

みんなのトラウマ探検隊?

学年的には後輩の友達にメール書きながら、なんとなく思ったこと。 文系の研究でできることってのは、みんなのトラウマ(もはやうまくいかなくなっている社会的な暗黙の前提)を対象化して、新たに現状的確な前提を再設定する/埋め込んでしまう、あるいはそう…

 11.解答篇2(工事中)

構成的規則における過剰について * このエントリーでは、解答篇1で書ききれなかったポイントを指摘したい。浜本満『秩序の方法』には、まだまだ多くの検討すべき考察が散見される。解答篇1で取り上げたのは一つの側面にすぎない。今後も自分の研究にとっ…

研究とその流通について

少し前に、大学院ゼミで「流通しない研究はだめだ」というようなことを言った*1。 ほとんど誤解されたようだが、「流通する」ということは、あらかじめ決められた流通ルートの構造にのって売れる研究が良いということではない、全くない。そうではなくて流通…

MIDI祭とか

たまにはブログらしいとても個人的なことも書いてみようと。 とはいえとても短いけれども。 最近再びよく聞いているのはこれ↓ http://www.stevereich.com/ "Music for 18 Musicians"がダウンロードできる。 数年前まで参加させてもらってたイベント↓ http://…

例え話と事例研究の違い

このところ理論的な作業をしばらく続けてきて、考えるに、そろそろフィールドワークに専心しても大丈夫なのかもしれない。 下の論文草稿―特に4章で事例から言葉を引き出していく過程―を思い返すと、事例が勝手に理論を作っていってくれる運動というのが自分…

 10.解答篇1

このブログでは、浜本満氏の儀礼論についての考察をいくつか書いてきました。今までは、基本的には読書ノートという形をとり、浜本氏の立論過程の検討と問題点をしぼる作業に限定してきたところがあります。とはいえ、中途半端に批判しっぱなしで放置するの…

ジョンソン&レイコフ読書ノート1

レトリックと人生作者: ジョージ・レイコフ,マーク・ジョンソン,渡部昇一,楠瀬淳三,下谷和幸出版社/メーカー: 大修館書店発売日: 1986/02/01メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 47回この商品を含むブログ (25件) を見る 24.メタファーと真実 ・真実論に関する関…

ペギオが教えてくれること♪

生きていることの科学 生命・意識のマテリアル (講談社現代新書)作者: 郡司ペギオ-幸夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/21メディア: 新書購入: 5人 クリック: 24回この商品を含むブログ (58件) を見る この人の本を読むといつも思う。 そうそう、こ…

自閉症とロボット

このブログではほとんど言及していないが、現在の研究のメインであるロボットに関するフィールドワークの成果を発表する機会がこのところ数回あった。その折、自閉症に関する科学技術人類学を専攻している知人に、ロボットと自閉症をめぐる状況にある種の共…

プロフィール画像

asukakyokoさんに画像をもらったので約束どおり使わせていただきました。 どうも他の人からみたらこんな風な生き物らしい。その他変形ヴァージョン等はこちら。色々作ってくれて有難う、というかお疲れ様。試作第五号がとくに気に入ってます>asukaさん

分裂生成

デカルトからベイトソンへ―世界の再魔術化作者: モリス・バーマン,柴田元幸出版社/メーカー: 国文社発売日: 1989/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (19件) を見る P240 あらゆる社会的・個人的・生物学的生命体は、それ自身…

人間の自然化

レヴィ=ストロースほどラディカルな人類学者はいない*1。 そして従来の理解はその根本を完全に外している。 そろそろ、この根拠のない直感を実証するための準備を始めることにしよう。 構造人類学は野生人の認識論ではなく野生の存在-認識論である。 そんな…

ホームページ再開

数年前に作って放置していたHPをアップしました。過去に発表した論文や原稿、PDFなど、まとまったものはこちらに置いていく予定。

言語と生命2加筆終了

長らく放置していた6/21言語と生命2を書き終わる。リンクはこちら。

非言語的メタコミュニケーション

このところ、ブログに費やせる時間が不足しているので、二年前に書いた文章を採録する。あまりに単純なクリプキ理解や、乱暴な論の展開は恥ずかしいかぎりだが、指示的=言語的メタコミュニケーションと身体的=非言語的メタコミュニケーションの間にいかな…

言語と生命2

前回はすこし軌道がズレた。余計なことを考えている余裕はない。簡潔に、できるだけ直接的に。たいしたことは書いてない。あくまでアイディアとして機能するものを。 最初に興味をもったのはこの2冊(『言説分析の可能性』『生と権力の哲学』)におけるフー…

メモ(<コトバとモノ>再考)

シンプルに考えてみよう。 たしかにソシュール以降、構造主義の圏域にある*1私たちは「もの自体」という素朴な考え方が不正確な結論を生じさせることを知っている*2。 その結果、私たちの知性はこの世界に存在する事物それ自体を直接把握することはできず、…

言語と生命1:あるいは哲学と社会(学)の狭間

新幹線移動にかこつけて購入した二冊。 言説分析の可能性―社会学的方法の迷宮から (シリーズ 社会学のアクチュアリティ:批判と創造) 生と権力の哲学 (ちくま新書) 両者ともに理論的軸としてM.フーコーを位置づけながらも、その展開において明確な違いが見ら…

メモ(戦略案)

1現時点での仮想敵 ソシュール流記号観→相対主義的文化観 →(やりすぎてーの)→SCOT=テクノロジーの社会的構成 →(開き直ってーの)言説中心主義→(反転してーの)→ANT 2現時点での賭金 技術と生命の人類学(レヴィ=ストロース再考) 菅野盾樹記号論の人類学的…

メモ(ANTについて)

ANT:ActorNetworkThoryへの罵詈雑言(=問題点抽出) 「無限かつ有限なのは神話素としてのネットワークです。あなたの分析ではありません。」 「真理値付与、対象まかせでどうする。このテクノロジーの小判鮫(Actor Follower)が」 「モノもアクターつったっ…

 9.恣意性を廃棄せよ

前節では、浜本の議論が「恣意性」という結論をどこかで前提にしていることが問題なのではないかと指摘した。しかし、その指摘は印象論に留まっている。ここでは、「恣意性」という結論の問題点を、異なる視点から明らかにする。 浜本の議論は、次のような対…

 8.補論

浜本儀礼論についての考察4の特定箇所を削除し記述を書き換えた。 ここではその理由について説明しながら、浜本の構成的規則論を検討していきたい。浜本の記述を読みかえしたところ、構成的規則の特徴として「規制なしには規制される行為そのものが存在しな…

 7.「一と多」ではなく

主張Bの検討に入る前に、<自然の法則>と<人為的規則>の区別の不当性を指摘する浜本の議論が、なぜ文化概念を再構築する上で有用と考えられるかを説明しておきたい。それは、簡潔に言って、相対主義的文化観が、一つの(=適用範囲が限定されない)自然法則…

 6.「呪術的」知識の様相

ここからは、浜本の議論の妥当性と可能性について検討していく。浜本の立論は非常に周到に組み立てられたものであり、一概に是非を結論するのは難しい。ここでは、いくつかの論点を提示しながら、ひとつの方向へとまとめ上げていくことを目論む。 まずは、浜…

 5. 水甕を動かす→妻を引き抜く:有縁性による動機づけ

第二の問いに移ろう。なぜ「水甕を動かすこと」が「妻を引き抜くこと」になるのか。 象徴論的解決では答えは単純であった。水甕は妻の象徴であるから、というのがその答えである。この主張を支えているのは、水甕と呼ばれるのが土器の壷であり、土器の壷と女…